私とは
私は、私のまま、聖司くんを愛したい、と思うけれど、聖司くんを好きだ、と気がついてから、自分を見失っている気がする。
なにを考えるときも、聖司くんありきになってしまった。
聖司くんがいるから、他の何かをがんばる、という人間になってしまった。
今まで一人できちんと、生きてきたつもりだけれど、聖司くんとであってから、なんだか急に、小鳥のような私になってしまった。
それに、なにかを思うときも、必ずと言っていいほど、聖司くんが浮かんでしまう。
私のなかの形容詞の語彙の1つにも、聖司くんは入ってしまった。
例えば、ウインドウショッピングをしているとき、魅力的なものを見つけたら、かわいいとか、きれいとか、そういう、物への賛辞の前に、聖司くん、という感想を述べてしまう。自分でもこわいと思う。そうでなくても、かわいい、と思ったとしても、その次には、聖司くんに似合いそう、だとか、聖司くんは好きだろうか、だとか思ってしまう。