永遠
死にたくない、と思うようになった。
聖司くんとであう前、私は、いつ死んでもいいし、世の中を生きていくのはつらいことのほうが多い、と思っていた。それに、自分のことが心の底から嫌いだった。顔もへんだし、性格もよくないし、真面目に生きているつもりだけれど、とにかく不幸体質なのもあって、生きている意味がわからなくなっていた。
絵を描くことはいつも変わらず好きだった。けれど、それは、私の人生の中心にはなれなかった。私は、建築の勉強をはじめた。毎日、設計図とにらめっこしているだけで時間が過ぎていった。
だけどある日、また、聖司くんとであったのだ。そして、聖司くんはまた、私のことを好きだと言ってくれた。私は何年も前から、ずっと、聖司くんのことが忘れられなかったから、こんなことがあるのか、と、自分の人生の中で一番ラッキーなことが起こったので、驚いてしまった。幸せを実感するのには時間がかかった。いままでマイナスだった人生に、いきなり、買ってもない宝くじが当たったみたいな出来事が起こったのだから、幸福を受け入れるのが難しかった。
聖司くんは毎日たくさんの幸せをくれる。
はじめこそ、驚きが大きくて、受け止めることで精一杯だった。
こんな自分を好きだと言ってくれる、かわいいと言ってくれる、そんな人がこの世にいる。
何度も愛を伝えてくれた。
私から愛を伝えるのには少し時間がかかったけれど、ゆっくりと伝えられるようになった。
聖司くんと過ごす日々が積み重なっていく。
毎日が尊い。
聖司くんとずっと一緒に生きたいと思った。
父方の祖母が癌で入院したと知った。
祖母のことが大好きだった。
ショックが大きかった。
大好きな人にも死ぬときが来ることを実感した。
死んでもいい、と思っていた自分が、死にたくない、と思うようになっていた。
誰にも死んでほしくない、みんな健康に、楽しく、幸せに生きてほしい。
聖司くん、絶対に死なないでください。
一緒に永遠に生きたい。
終わりなんて来ないでほしい。
いつか死ぬなんて、考えたくもない。
ずっと幸せに一緒に生きようね。